英国の新移民・入国管理政策に関するセミナーの開催
2007年10月17日
10月5日(金)、当館ボールルームにて、内務省国境移民庁のポーラ・ヒグソン移民管理担当戦略局長他を招き、英国国内の日系企業を対象として新移民・入国管理政策に関するセミナーを開催いたしました。
本セミナーでは、現在検討中の新移民・入国管理政策、特に(1)来年に本格導入が予定されているポイント制や英語能力の要件化、(2)本2007年11月中旬から日本にて運用が開始される生体認証技術を採用した新査証(入国許可証)制度等について、国境移民庁及び外務省の担当者が説明を行い、その後質疑応答のセッションで、活発かつ率直な意見交換が行われました。
英国の移民・入国管理政策については、日系企業等当地邦人社会の関心が高いことにかんがみ、英国政府における検討状況を十分把握し、当方の考え・懸念等を英国政府に伝えることは極めて重要との考えの下、本件セミナーを実施いたしました。
下記の概要は、セミナーにおける説明・議論のうち、関心が高いと思われる諸点につき、あくまで当館限りで取りまとめたものです。現在検討中の新制度の全ての点についての説明ではありませんが、皆様のご参考として頂ければと思います。加えて、同内容はあくまで英当局が検討中の新移民制度の概要を紹介するものであり、その全貌を当館が責任をもってお伝えすることは困難であるということをご理解頂ければ幸いです。
当館としては今回のセミナーで得られた参加者のご意見を踏まえ、引き続き英当局に日本側の関心事項につき伝えていきたいと考えております。何かお気づきの点があれば総領事館ご意見箱にメールを頂ければ幸いです。
なお、ポイント制については、下記の内務省ウェブサイトでも詳細説明がなされているところ、ご参照ください。
http://www.ind.homeoffice.gov.uk/aboutus/ourplans/apointsbasedsystem
1.総論
●新移民・入国管理政策の趣旨は、英国入国が、善良な移民にとってはより簡便に、規則に違反・濫用する移民にとってはより困難にすること。
●移民は英国経済を支える重要な要素であるが、その反面、学校・住宅政策等で英国社会の負担となっており、この二つの問題のバランスをとるために新制度を導入する。
●新制度策定にあたっては公開性・公正性・透明性を重視している。
2.ポイント制
●ポイント制の導入は、移民・入管制度の簡素化・透明化が趣旨であり、これにより申請者も受入れ企業も手続き上の負担が軽減される。
●日本のような移民政策上のリスクが低い国や、本制度の運営上善良な企業は、緩和された基準で審査される予定。
●ポイント制第2階層(Second Tier:「求人のある技能移民」(Skilled Migrant with Job Offer)は、現行の労働許可証(Work Permit)制度を実質的に代替するもの。
●第2階層の運用は、2008年の第3四半期(9月頃)から開始される予定。
●スポンサー資格の登録は、2008年初頭から開始されるところ、本制度導入直前は事務処理が集中するので、各企業には早めにスポンサー登録をして欲しい。
●第2階層では、各種要件を満たす毎に点数が付与され、計50点以上を得ること及び英語能力要件を充足した場合のみに入国許可証が発給される。
●企業内転勤では、(イ)当該企業での就業暦6ヶ月以上、(ロ)高卒レベル以上の技能労働、(ハ)英国内と比較して適正額の年収額設定、(ニ)英語能力の4点が必須条件となる。
3.英語能力要件
●英語能力要件については、第1階層(高度技能移民)にはIELTS 6.5程度、第2階層にはIELTS 5.5程度の英語力を最低基準とする予定。
●英語能力を証明する書類としては、(イ)国境移民庁が認める各種英語能力試験の成績証明書、(ロ)英語による講義が行われる大学等で取得された学位証明書、(ハ)英語が公用語となっている国の国籍保有が証明できる書類のいずれかを検討中。
●(エンジニア・調理師等、不可欠な技術を持つ日本人に対しては英語試験に代わる代替策はないのか、またIELTS 5.5というのは相当高い水準であるとの質問に対し)英語能力の要件化は内務省の各大臣の強い意向を踏まえたものであり、個々の企業・技能等で例外を設けることは難しい。ルールは、万人に理解され、万人に等しく適用されなければならない。
●(IELTS以外の、例えばTOEIC等の試験でも良いのかとの質問に対し)IELTS以外の試験については、互換性について今後検討し、その結果を公表したい。また日本の各企業が設定している社内基準についても、比較検討していきたい。
4.生体認証査証(入国許可証)の導入
●査証(入国許可証)申請にあたっての生体認証技術の導入は、不法入国・犯罪関連申請の抑止に極めて効果的。申請者に不便を強いることとなるが、利点も多く理解をして頂きたい。
●日本における生体情報採取は、本2007年11月第2週から開始予定。採取対象の生体情報は、全指の指紋情報と顔写真。
●本制度導入後は、査証(入国許可証)申請者は東京と大阪の2箇所に設置された生体情報採取センターに直接出向く必要があり、代理人のみによる申請は今後原則として不可。
●この生体情報採取センターは、国境移民庁と提携した民間企業が運営する。
●採取された指紋情報等は、その場で暗号化され、英国内の中央サーバーで集中的に管理される。
●採取された情報は、英国情報保護法の対象となり、目的外使用は厳しく制限される。
●現行の査証(入国許可証)・滞在許可が有効な間は、新たに生体情報を登録する必要はない。
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