林大使からの新年ご挨拶

令和6年1月4日
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謹んで新年のご挨拶を申し上げます。令和6年は、能登半島地震の発生で、多くの尊い命が失われ、大変な幕開けとなりました。亡くなられた方々のご遺族に哀悼の意を表するとともに、影響を受けたすべての皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、救援や復旧作業に尽力されている方々に敬意を表します。

能登半島地震に関して、チャールズ3世国王陛下から天皇陛下に対して、またスナク首相からも、お見舞いと支援のメッセージをいただいたことは、非常に心強く、我が国と英国とのこれまでの強い絆を象徴するものでした。

この点、昨年は、我が国と英国との関係において、非常に重要な進展が数多く見られた、豊かで実り多い特別な一年だったと考えます。何より、昨年5月のチャールズ3世国王陛下の戴冠式御出席のため、秋篠宮皇嗣同妃両殿下が当地を御訪問されたことは、一昨年9月の故エリザベス2世女王陛下の国葬への天皇・皇后両陛下の御出席に続くものであり、日本の皇室と英国の王室の深い御親交を示し、両国国民間の絆を一層強くすることにつながりました。

また、昨年日本はG7議長国を務め、5月にはG7広島サミットを開催し、他のG7首脳と共にスナク首相が訪日されました。その機会に両首相は、一層日英関係を深化させていくことで一致し、「強化された日英のグローバルな戦略的パートナーシップに関する広島アコード」を発表しました。加えて、日英部隊間協力円滑化協定(RAA)の署名・発効、日本・英国・イタリア三か国間の「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約」の署名が行われたほか、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への英国の加入議定書が署名され、日本が他の締約国に先駆けて同議定書の国内手続を完了し、寄託者通報を行うなど、日英間の協力関係が広く、大きく飛躍した年でした。文化面でも、日本の魅力を発信しているジャパン・ハウス ロンドンが開館5周年を迎え、これまでに総計150万人以上の来訪者を記録しました。秋には、トラファルガー広場で4年ぶりとなるジャパン祭りが開催され、4万人以上が来場し大変な好評を博しました。

そして何より、日英間の人的交流が、ようやく新型コロナ前の水準に戻りつつあります。英国から日本への観光客数は新型コロナ前の約9割の水準まで戻り、日本は英国人の旅行先としてこれまで以上に高い人気を誇っています。また、昨年11月には日英の外相間で人的交流に関する覚書が署名され、日本のワーキング・ホリデー制度及び英国のユース・モビリティ・スキームに基づく査証の発給数を年間最大6,000枠に拡大することが確認されました。

本年も、在留邦人の皆様を始め、多くの方々の御理解と御協力を得ながら、政治・外交、安全保障・防衛、経済・ビジネス、学術、文化、スポーツ等、様々な分野での日英交流・協力を一層進展させられるよう努めてまいります。また、在留邦人の皆様が安心して英国で生活し、仕事や勉学に励めるよう、様々な支援、サービスの提供・拡充に一層努めてまいります。

震災からの速やかな復旧に加え、本年が皆様にとって幸多き年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

 
令和6年1月4日
駐英国日本国特命全権大使
林 肇