英国政府による「英国・EU間の権限バランスの見直し」
日本政府のコメント

 

平成25年7月15日

 

20127月に英国外務大臣が発表したとおり、英国政府は、英国・EU間の権限バランスの見直し作業を進めており、EUの行動とそれが英国に与える影響についての審査を行っています。この見直し作業の過程で、英国政府は、外国政府を含む各方面に対し、それぞれの視点から本件にかかるコメントを求めました。日本政府はこれに応じ、要旨以下のコメントを提出しました。

 

1 本件は、一義的には英国及び英国民が長期的視野に立って判断する問題と理解するが、本件作業が、EU加盟国としての英国及びEU全体の双方にとって、建設的な貢献となることを期待する。

 

2 我が国は、英国と基本的価値及び国際社会の諸課題につき利益と責任を共有している。二国間関係のみならず、日EU関係の文脈においても、日英は緊密に連携してきており、我が国としては、政治・経済・安全保障等の諸分野におけるEUの取組において、これまで英国が果たしてきた役割を高く評価する。

 

3 EUは、国際社会において大きな発言力・存在感を有しており、我が国はこれまで以上にEUとの関係強化に注力している。このような文脈において英国がEUにおいて引き続き強い発言力を維持し、大きな役割を果たしていくことを期待する。

 

4 英国は、自由貿易推進派として我が国の頼れるパートナーであり、EUの単一市場に参加している英国には、1,300の日本企業が進出し、欧州最大の雇用を創出している。これは英国の欧州市場へのゲートウェーとしての魅力が外国投資を引きつけていることを示しており、日本政府としては、そのような英国の魅力が維持されることを期待する。

 

5 さらに、日本政府は、英国がEU内において、規制の緩和や合理化を主導し、結果としてEUを外国企業にとってより魅力ある市場とする上で大きく貢献していることを評価している。この関係で、英国で活動する日本企業からはEUメカニズムにおいて英国が規制の緩和及び合理化を主導することへの期待が寄せられている。EU単一市場の完成に向けた英国政府の決意と努力を期待する。

 

6 なお、日本政府としては、英国とEUとの権限配分の見直しにより、連絡経路の明確性や意思決定の速度といった対外関係上の側面が、より改善されることになれば望ましいと考えている。