◆G8成長のための開放・3Tsイベントの結果(6月15日開催)

 


 


6月15日、英国ロンドン、ランカスター・ハウスにおいて、サミット前のイベント「成長のための開放(Open for Growth):貿易、税、透明性」が開催され、イベント冒頭にキャメロン首相が、閉会時にクレッグ副首相がそれぞれスピーチを行いました。日本からは,鶴岡公二外務審議官が政府代表として出席しました。



1 キャメロン首相スピーチ概要
○ 8年前、英国がG8議長国を務めた際、援助について未曾有の合意がなされたが、本日出席している国々の多くにおいて貧困は未だ存在する。
○ 貧困が存在する理由として、援助の約束が守られていない、又は多くの援助の使い方がまずいという人がいるだろうが、援助だけでは貧困を撲滅することはできない。貧困の原因に対する取組の大きな部分は、発展途上国がその歳入と成長の利益を享受できるようにすることであり、そのためには、より公正な税制、より高い透明性とより多くの貿易の3つが非常に重要である。
○ これまで長い間、国際社会は、発展途上国における生活を壊す、酷い汚職、資源の不適切な管理、根本的なまずい統治について非難することを避けてきた。しかし、税制の秘匿性の時代を終わらせ、政府や企業の行動について真の開放を推進することにより、状況を変えることができる。
○ 具体的には、G8において、私は、脱税や租税回避と戦うために国際的な合意を要求するつもりである。すなわち、我々の税務当局間における自動的な情報の交換、企業に対して、利益を上げた場所の税務当局及び税金を支払った場所の税務当局に対し、報告させること、誰がどの会社を所有し、誰がその会社から利益を得ているかについて、透明性を高めることを目指す。今朝(15日午前中)、すべての英国の海外領土と王室属領は、英国との間での自動的な情報の交換を行うとともに、誰が利益を得ているのか(beneficial ownership)を透明にするための「アクションプラン」を作ることについて、多国間条約に署名した。
○ 石油会社、ガス会社、鉱業会社は、すべての国とすべてのプロジェクトでの支払について公表することが米国では立法化されており、ヨーロッパ及びカナダにおいても立法化される予定である。また、政府もどれだけ受け取ったかについて公表することに取り組んでおり、多くの発展途上国は少し前から公表することとしており、英国、フランス、米国が加わる予定である。英国は、オープンな政府のパートナーシップ(the Open Government Partnership)におけるリーダーシップを通じて世界中における透明性に関する革命の推進を継続する。
○ 2022年までにアフリカ内での貿易を2倍にするという目標達成に向けてアフリカ諸国を支援するとともに、アフリカのインフラ整備などを支援する。

○ 開放性が裕福な国にも貧困な国にも同様に利益をもたらすことを確かにする、適正な会社、適正な税制、適正な国際的なルールが今日の英国及び来週のG8のアジェンダである。

2 クレッグ副首相のスピーチ概要
クレッグ副首相は、会議の最後に、各セッションにおける議論の主な結果を以下のとおり紹介した。
(1)税に関するセッション
○ 課税対象となる活動が行われた国においてのみ納税するという原則について、企業から強い支持が得られた。
○ 英国の海外領土と王室属領は、税務情報の交換に関する多国間条約に加入すること、自動的に情報交換を行うパイロット事業へ参加すること、誰が実際に企業を所有し、誰が利益を得ているか(beneficial ownership)についてのアクションプランを作ることに取り組むこととなった。
(2)透明性に関するセッション
○ 英国は、誰が実際に企業を所有し、誰が利益を得ているか(beneficial ownership)の登録制を設け、税の徴収機関や法律の執行機関が利用できるようにする。さらには、そうした情報の公表についてコンサルテーションを行う予定である。
○ 採取産業の企業による収入と鉱山使用料の報告に関する国際的な基準の設定を求める声が企業側からあった。
○ 民間企業から歓迎されているギニアにおける契約の透明性を高める取組など発展途上国から透明性を高める改革について大胆な発言がなされた。
(3)土地に関するセッション
参加していた民間企業から、より良い土地の管理に関する原則を具体化すること、及び発展途上国の土地の管理の基準を高めることを支援することが発表された。
(4)貿易に関するセッション
アフリカ連合、地域の経済コミュニティ及び政府と協働して、非関税障壁の問題に取り組むことが合意された。
(5)オープンデータに関するセッション

 オープンデータの取組の良い影響を明らかにするための新しいタスクフォースを設置し、このタスクフォースは、10月のオープンな政府のパートナーシップ(the Open Government Partnership)の会合で詳細な報告を行うこととされた。