◆G8科学大臣及びアカデミー会長会合の結果(6月11日~13日開催) 

 

 


6月11日~13日、当地王立協会等にて、G8科学大臣及びアカデミー会長会合が開催されました(日本側より、原山優子総合科学技術会議議員及び大西隆日本学術会議会長が出席)。
 
この会合の討議結果として、各国の大臣級の参加者全員の署名による共同声明(https://www.gov.uk/government/news/g8-science-ministers-statement)が取りまとめられました。12日には、ジョージ・オズボーン英財務大臣に説明し、共同声明が手渡されました。



1.全体日程

(1)6月11日(火)
20:00 王立協会主催の歓迎夕食会(「科学への国民参画」に関する討議)

(2)6月12日(水)
9:00 歓迎挨拶
9:10 セッション1 : グローバル課題
11:15 セッション2 : グローバル研究インフラ
13:15 セッション3 : オープンデータ
15:15 セッション4 : オープンアクセス
16:45 全体討議及び全大臣級出席者による共同声明の署名
オズボーン英財務大臣との意見交換、共同声明の手交
19:00 ウィレッツ英大学・科学担当大臣主催の夕食会

(3)6月13日(木)
8:30 ウィレッツ英大学・科学担当大臣主催の朝食会



2.各国出席者

(1)大臣級
デビッド・ウィレッツ 大学・科学担当大臣(英国)
マリア・キアラ・カローザ 教育・大学研究大臣(イタリア)
ジェネビエーブ・フィオラソ 高等教育・研究大臣(フランス)
メア・ジョヒーガン・クイン 欧州委員(研究・イノベーション・科学)(EU)
ギャリー・グッドイヤー 科学技術大臣(カナダ)
原山 優子 総合科学技術会議議員(日本)
パトリシア・ファルコン 大統領府科学技術局副局長(国家安全保障・国際問題担当)(米国)
デミトリ・リバノフ 教育・科学大臣(ロシア)
ジョージ・シュット 教育・研究担当国務長官(ドイツ)

(2)アカデミー会長級
ポール・ナース 王立協会会長(英国)
グラハム・ベル カナダ王立協会会長(カナダ)
フィリップ・タケット 科学アカデミー会長(フランス)
ジョージ・ハッカー ドイツ国立科学アカデミー・レオポルディーナ会長(ドイツ)
ランベルト・マフェイ リンチェイ国立アカデミー会長(イタリア)
大西隆 日本学術会議会長(日本)
ミッチェル・ウグルモフ ロシア科学アカデミー会員(ロシア)
マイク・クレッグ 国立科学アカデミー外務大臣(米国)



3.共同声明(要点)

(1)グローバル課題
○ G8として協力して取り組むべき新たなグローバル課題について議論。社会・人文・自然・生命・環境科学にまたがる分野横断的な取組の必要性を強調。
○ 近い将来の取組が必要な課題として、特に、都市化、人口、エネルギーセキュリティ、気候変動、海洋酸性化、若年者失業、不平等、基礎科学の成果の個別・再生医療への応用、人口高齢化、認知症を取り上げて議論(ただし決定した課題ではない)。
○ また、21世紀の健康安全上の課題として抗菌薬の薬剤耐性に焦点を当て、WHO等と協力して、耐性削減に必要な科学的情報を発展させること等を決定。

(2)グローバル研究インフラ(GRIs)
○ GRIsに関する国際協力の発展の可能性について認識。2008年沖縄サミットで設置された政府高官グループ(GSO)の取組を認識。
○ G8が、GRIsに関する協力を検討する際の原則等として、GSOで決定されたフレームワークの採用を決定。また、フレームワークの推進や、新たな参加国と協力を開くためのGRIsリストの作成等に関して、GSOに対する権限付与を承認。
○ 進捗状況の報告を得るため、2015年にGSOを招へい。

(3)科学研究データのオープン化
○ 科学的発見やイノベーション、科学の透明化や科学への国民参画等を加速させるため、G8は科学研究データのオープン化を確約。
○ 科学研究データのオープン化のため、G8として基本原則を採用することを決定。(具体的には、)政府投資による科学研究データに関しては、プライバシーや安全、セキュリティ、商業的な利益に関する懸念に留意し、また、民間部門の正当な懸案を認識した上で、オープン化すべき等。

(4)科学研究成果に関するアクセス拡大
○ G8各国は、科学的発見の加速や研究に関する国際連携・協力の実施、国民参画の加速、経済的繁栄の支援等のため、政府投資による研究成果のアクセスを拡大させる政策を推進する機会及び責任を有することを認識。

○ 具体的には、政府投資による研究について、ピアレビューされ、公表された研究成果についてアクセスを拡大する原則を支持、ピアレビューや出版社の役割の重要性を認識、オープンアクセスに異なる方策があることを認識等。