大庭定男(オオバサダオ)氏に対する大使表彰

5月13日(木)、大庭定男氏に対し、折田在英大使から大使表彰が授与されました。大庭氏は、1969年から95年にかけてロンドンに在住した間、日英関係史、特に英国における日本人社会の歴史を研究・発表するとともに、日本クラブ等を通じ日本人社会の発展にも尽くしてこられました。今回の表彰は、こうした長年の貢献に対し贈られたものです。大使表彰は、日英間の相互理解や友好親善に貢献した個人や団体に授与されるもので、1999年の創設以来、22の個人や団体が表彰されています。



大庭定男氏と折田在英大使
 

大使表彰に際しての折田大使挨拶:

大庭定男殿に大使表彰を授与するに当たりご挨拶申しあげます。

日英間には長い交流の歴史があります。特に、幕末以来、日本は近代化に際し、英国より多くのことを学びました。幕末の幕府遣欧使節団の訪英以来、多くの日本人が英国の土を踏み、幾多の足跡を残してきています。

大庭定男殿には、長年にわたる英国滞在中、日英関係史、特に、日英経済関係史や、戦前の英国における日本人社会に関する調査研究を続けられ、その成果を発表されてきました。外交、軍事面の交流の陰に隠れ、ともすれば埋もれがちな英国における日本人社会の歴史や、その過程で英国に足跡を残した日本人に関する事項を、草の根のレベルも含め、丹念に掘り起こし、記録にとどめるとともに、一般に紹介する地道な努力を重ねた功績は貴重なものです。大庭殿の一連の著作および大庭殿が発掘した各種資料抜きでは、英国の日本人社会の歴史を語ることはできません。

また、1980年代に、ロンドン郊外にあるブルックウッド墓地に眠る4名の幕末・明治初期日本人留学生の墓地が再発見された際には、大庭殿はその保存を各方面に働きかけられるとともに、歴史の中に忘れ去られたこれら4名に関する資料の収集にも努められました。現在、これらの墓は整備され、日英友好協会が1998年に建立した顕彰碑に守られています。

さらに、大庭殿は、約30年にわたる英国滞在中、長年にわたり日本クラブの会報『びっぐべん』の編集委員を務めるなど日本人社会の発展のためにも尽くしておられます。

このほかにも、戦後ジャワで英軍に抑留された経験を含むご自身の戦争経験を発表されるとともに、2003年には、ロンドンにおいて、ビルマ作戦協会 (Burma Campaign Society) において講演し、英軍に抑留された経験を紹介されるなど戦争体験の継承にも熱意を持って取り組んでおられます。

このような大庭殿の長年にわたる活動は、日英の友好親善と相互理解に資するところ大であったと認められます。よって、ここにその功績に対し大使表彰を授与いたします。